乾漆というのは古くからある漆工の技法で、造形した石膏原型などに漆を糊として麻コンセプト:布を貼り重ねて素地を作り、その後離型し、表面を整えていく、という工程を重ねて作らています。素地が布であるためとても軽く、自由な形が表現できるという特徴があります。
漆という素材はそれ単体では成り立たず、必ず造形した何かに塗らなくてはなりません。
私は、表現の幅を広げたいという思いからこの技法を学ぶようになりました。
自由に形を作る事ができるので、主に曲線の美しさに重きを置いて制作しています。モチーフは身近にある自然の中から受け取ったものが殆どです。植物の生えている姿、花びら、葉の翻り、種、実。。。
植物の持つ造形の美しさを柔らかい表情で表すために極薄い和紙肌に仕上げる事が多く、和紙のふんわりとした表情に漆の色が染み込むとき、なんとも言えない漆の魅力を感じます。掌に包み込んだとき、私が感じるこの思いに共感して頂く事ができたなら幸いです。
漆/麻布/和紙